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革の染色方法の違いとは?顔料と染料について

時間をかけてじっくり鞣した革を、染料や顔料を使って理想の色に近づけていく最終工程である「染色」。

「皮」を「革」に生まれ変わらせるための仕上げの工程で、染め方の違いで発色や風合いも変わってくる重要な作業です。今回はその染め方の違いと、それぞれの特徴についてご紹介します。染色について知ることで、革製品の楽しみ方がさらに広がることでしょう。

◯革の染色の工程とは

革の染色は、発色だけでなく風合いや艶を決める重要な工程です。

まずは革の状態を見極め、目的の色味になるよう染料の配合などを調整しながら色合わせをし、その後、革と染料、薬剤をドラムの中に入れ、回転させて染色していきます。このように、基本の作業は「薬剤や染料を入れてドラムを回す」のみですが、革の状態や気候等により薬剤の配合や回す時間などは毎回異なります。この微妙な調整によって革の仕上がりや発色、質感に大きな違いが出てくるため、染色の工程には職人の熟練の技と磨きあげた感覚が必要となります。

◯革の染色方法の種類

革を染める方法は、大きく分けて「染料仕上げ(アニリン仕上げ)」「顔料仕上げ」「セミアニリン仕上げ」の3種類があります。

この3つは大きく異なり、どの着色方法を選ぶかによって革の仕上がりが大きく変わってきます。

【染料仕上げ(アニリン仕上げ)】

革の繊維の中にまで色を浸透させ染め上げる染料を使用して着色する方法で、アニリン仕上げと呼ぶこともあります。

革本来が持つシワやキズ、筋などをほとんど損なうことなく染めることができ、質感や風合いを活かしながら透明感のある仕上がりになります。着色性も高いため、顔料に比べて小さな傷でも色が剥げにくくなります。エイジング(経年変化)が楽しめ革製品特有の表情を見ることができますが、湿度や摩擦によって色落ちや色移りが起こることもあり、お手入れが必要となります。

【顔料仕上げ】

革の表面に顔料を乗せて着色していく方法です。染料仕上げに比べ塗装膜が厚いため、キズやシワを目立ちにくくし、鮮やかで均一に着色することができます。

また多少の耐水性があるので汚れが付きにくく、ほとんど色落ちしないため、綺麗な状態を長く保つことができるという魅力があります。バッグなど衣類に触れることが多い革製品には、色移りしない顔料仕上げが適しています。

ただ、表面がコーティングされるため、染料仕上げに比べて革本来の質感は少なくなります。

【セミアニリン仕上げ】

染料とごくわずかの顔料で着色していく方法です。

「染料」で革の繊維の中まで色を浸透させつつ、「顔料」で革の表面をコーティングするため、革の質感を残しながらも汚れに強い革に仕上がります。

革本来の質感を楽しめる上お手入れの必要があまり無く、人気の高い染色方法です。

また、高級感のある見た目と傷や水に対する強度を持ち合わせているという特徴から、ソファなどの高級家具や高級車の革張りシートとしてもよく使用されています。

◯まとめ

「染料仕上げ(アニリン仕上げ)」「顔料仕上げ」「セミアニリン仕上げ」どの染色方法にもメリットとデメリットがあり、どれが良いか悪いかということはありません。

ブランドによっても様々で、例えばメンズ向けの革製品はエイジング(経年変化)して味がでる染料仕上げが多かったり、逆にレディース向けの革製品は、購入した当時の綺麗な状態を保つことができる顔料仕上げが多かったりします。

製法により仕上がりが全く異なるため、いろいろな革製品を見比べて、自分の好みの風合いや表情を見つけてみるのも楽しいかもしれません。