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“皮”から“革”へ。鞣しの種類

革を作る上で不可欠な「鞣し(なめし)」。

この鞣しと呼ばれる工程を経て、皮は「革製品」として使えるように生まれ変わります。

鞣す際に使用する薬品や製法の違いによって革の特徴が大きく変化するため、鞣しはその革の出来栄えを左右する非常に重要な役割を担っていると言えます。

目次

◯鞣しとは

鞣しとは、それまで「皮膚」であった動物の皮を「革」へと生まれ変わらせる技術のことを言います。

そもそも皮は時間が経つと乾燥して硬くなり、腐敗してしまいます。それを防ぎ、製品として使える素材へと加工するのがこの鞣しの工程です。鞣しの工程は多岐にわたり、薬剤やオイルなどを用いて繊維をほぐして柔らかくし、耐熱や防腐などの加工が施されます。
現在では、「植物タンニン鞣し」「クロム鞣し」「コンビネーション鞣し」の3種類が主流です。

◯鞣しの歴史

人と革の歴史は古く、その始まりは約200万年前まで遡ります。

私たち人間は新石器時代以降、寒さをしのぐために動物の皮を防寒用や居住用テント、その他にも生活用品として利用してきました。ただ動物の皮は生ものであるため、すぐに腐食が進んでしまう扱いが難しいデリケートな素材であるため、人間は試行錯誤を繰り返しながら腐食しない方法を探す必要がありました。

最初は皮を乾かすだけでしたが、次第に揉む、叩くといった加工を加えるようになり、さらに柔らかく仕上げるため、乾燥させた皮に動物や魚の油脂を加えて皮の繊維を柔らかくする方法が生まれました。これを「油鞣し」と言い、ここから鞣しの歴史が始まったと言われています。

そして、紀元前600年頃には地中海沿岸近辺で植物性タンニンを使用した「タンニン鞣し」が生まれ、その後も様々な鞣し技術が開発されていきました。

19世紀後半になると、近代化とともに新しい革の鞣し方法が開発されるようになりました。その結果できたのが、金属を原料とした「クロム鞣し」です。クロム鞣しはタンニン鞣しに比べて作業時間が短く済み、また経済的にも優れていることから、革の大量生産が可能となりました。

このように、私たち人間は遥か昔から皮革を使用し、様々な工夫と知恵により鞣しの技術は進化を遂げてきたのです。

◯鞣しの種類

鞣しにはたくさんの種類があり、どんな薬剤を使って加工するかによって革の特徴が大きく変わってきます。現在は「植物タンニン鞣し」「クロム鞣し」「コンビネーション鞣し」の3種類が主流です。

それぞれの製法について詳しくご紹介します。

・植物タンニン鞣し
植物タンニン鞣しとは、天然の樹木から抽出したタンニン液に皮を浸して鞣す伝統的な製法です。丈夫で摩耗に強く伸びが小さいのが特徴で、使い込むほどに革に味が出るという魅力があります。革本来の香りや色艶、天然のキズやシボなど、本革ならではの表情が楽しめるため、多くのレザーファンに愛されている鞣し製法です。しかしながら、他の鞣し製法と比べて時間と手間がかかり、コストはクロム鞣しの1.5〜2倍程、要する時間は約4倍の2〜5か月程にも及ぶというデメリットがあります。

・クロム鞣し
クロム鞣しとは、塩基性硫酸クロムを主成分とした鞣し剤を使用した製法です。歴史は浅いものの、時間と手間がかからないため大量生産に向いており、一気にメジャーな鞣し製法となりました。安く短期間で革をつくることができる上に、柔らかさもありながら耐久性が高い革に仕上がります。現在ではバッグや財布、靴などさまざまな革製品に多く使われています。ただ、エイジング(経年変化)があまりないため、革本来の表情を楽しみたい方には物足りないかもしれません。

・コンビネーション鞣し
コンビネーション鞣しとは、植物タンニン鞣しとクロム鞣しを組み合わせた製法のことを言います。クロム鞣しを施した革をさらにタンニンで鞣し、独特の風合いに仕上げていきます。クロム鞣しと植物タンニン鞣し両方の特徴を持ち合わせており、高い耐久性を誇りながらエイジング(経年変化)による表情の変化を楽しむことができるため、現在では多くの革好きたちに人気の製法です。クロムとタンニンの配合比率により風合いが異なるため、表情の違いを楽しむことも面白いかもしれません。

◯まとめ

私たちの身近にあふれている革製品ですが、動物の「皮」が製品として使える「革」になるまでには、長い歴史とたくさんの人の知恵と努力がありました。

同じ皮でも、鞣す製法の違いによって革の仕上がりは全く異なります。それぞれにその革ならではの良さがあるので、今後は鞣し方法にも注目して革製品をチェックしてみてはいかがでしょうか。革の楽しみ方がさらに広がること請け合いです。