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日本の皮革産業の歴史

私たちの生活に欠かせない革製品。

皮革産業はヨーロッパからもたらされたイメージが強いですが、日本においても飛鳥時代以前から革の加工技術が始まり、古くから革を用いて発展してきた歴史があります。

今回はそんな1000年以上の歴史がある日本の革文化と皮革産業の歴史についてご紹介します。

目次

◯日本の皮革の歴史

・日本における皮革のはじまり

日本の革の歴史は1500年前まで遡ります。
飛鳥時代以前に大陸から渡来した「熟皮高麗(おしかわこま)」「狛部(こまべ)」と呼ばれる工人たちによって革の加工技術が伝えられたと言われています。この頃は主に鹿の革が利用されており、衣類や装飾品の他、武具や馬の鞍などが作られていました。
奈良時代になると皮を鞣す技術も少しずつ進歩し、日本独自の鞣製法も発明されました。

・中世〜近世日本の皮革

時代を経るにつれ、革づくりは盛んになっていきます。鎌倉時代に入ると武士の出現などにより鞣しの技術が急速に発展し、革足袋や鞍、鎧などの武具に多くの革が使われるようになりました。
江戸時代に入ると貨幣経済が発展し、皮革製品は庶民の間にも広まっていきます。牛馬の皮が多く使用されるようになり、製革技術の基礎が確立されたのはこの頃だと言われています。
武具中心だった皮革製品は次第に足袋、鼻緒、煙草入れなど多くの革細工物が作られるようになり、姫路、大阪、江戸、尾張の商人達により日本中に流通していきました。特に、姫路特有の「白なめし革」や姫路靼で作った「皮細工物」は全国的に人気が高い商品となり、姫路藩は進んで皮革業を保護・奨励するようになりました。

・明治維新以降の皮革産業

幕末から明治維新にあたる19世紀の半ばには、鎖国が解けて西洋の製品と文化が一気に入ってきました。洋装が多くなるにつれ革靴を履く習慣が増えたことにより、さらに革の需要が高まっていきます。当時一般の人達はまだまだ下駄や草履を履いていましたが、軍隊や警察、そして郵便事業などに関わる人々の履き物を洋靴に改めたことにより、急速に革の国内生産量と技術が発展していきました。

その頃、旧佐倉藩士の西村勝三が築地入舟町に「伊勢勝造靴場」を設立し、国内で初めて革靴の製作を開始します。
また、江戸の皮革産業を仕切っていた弾直樹が浅草橋場町に革靴産業の拠点を築き、さらに大塚岩次郎が「大塚商会(現・大塚製靴株式会社)」を設立するなど、国内での靴産業が次第に根付き始めていきました。
明治から大正にかけては革製の鞄の需要も増えていきます。それに伴い、鞄の製作は本格化し、明治20年頃には鞄の専門店が登場。学生鞄や手提げ鞄など、用途やデザインによって細分化されるなど、日本の皮革産業はさらに拡大していくことになりました。

◯地域による革事情

日本国内でも地域により革文化は異なります。それぞれの地域の特徴を見てみましょう。

・北海道

アイヌ文化が栄えていた北海道では、アザラシなどの獣皮や鮭など魚の皮を鞣して日用品として使っていました。現在は、害獣とされているエゾシカの革を活用した革製品の製造が広がっています。

・関東

関東平野に大きな川が流れているため、東京、埼玉、栃木は革の鞣しに適した地域として発展してきました。特に東京では墨田川、荒川周辺に豚革を扱う工場が集積しており、革の加工業者もたくさん集まっています。浅草界隈では昔から袋物の製造が盛んに行われており、靴やベルトといった革小物の工場が多く点在しています。

・中部

鹿革に模様を付けた甲州印伝が有名です。江戸時代にインド装飾革を国産化したものが起源と言われており、古くから愛されてきました。今でもその技法は守り伝えられており、現在ではバッグなどに使われ海外にも輸出されています。

・近畿

革の歴史は古く、奈良時代以前より行われていたと言われています。特に兵庫県の姫路周辺は有名で、現在では国内の約7割のシェアを占める一大拠点として全国でも有数の規模を誇っています。

薬品を使わずに、水、塩、菜種油のみで皮を鞣す「白鞣し」は姫路を代表する革の一つで、1000年以上姫路で継承されてきました。しかし、明治以降タンニンやクロムなどを使った鞣し技術が海外から広まると、白鞣しは次第に衰退していきました。このように一時は絶滅の危機にあったこの技術ですが、最近では少しずつ復活しており、その魅力が再認識されつつあります。

・中国・四国

革手袋や野球のグローブの生産が盛んで、特に香川県東かがわ市では日本の革手袋の90%以上が生産されています。1888年、東かがわに住んでいた住職と女性が大阪へと移り住み、そこで生計を立てるために行っていた手袋製造が始まりだと言われています。

野球やゴルフをはじめとする一流のスポーツ選手が使用するグローブが多く作られていることでも有名です。

・九州

日本開史以来、外国からの玄関口となってきた九州には様々な技術が続々と流入し、初めて革の技法が伝わった地と言われています。

中心となった北九州市は、女性用履物の製造の産地として有名です。また馬肉でも知られている熊本は、馬革の原料となる馬の産地としても知られています。

◯まとめ

日本の皮革の歴史は大陸からの伝承により始まりました。その歴史は意外と古く、飛鳥時代以前まで遡ります。外国からもたらされたその加工技術は日本全国でそれぞれ発展し、今に至ります。

現在では当たり前のように私たちの身近に溢れている革製品ですが、その歩んできた歴史背景に目を向けてみるのも楽しいかもしれません。革についてより深く知ることで、革製品がもっと愛おしくなることでしょう。